「全世代型社会保障」の名のもとに…

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けんせい歯科 事務長 秋濱 洋一

 2019年9月20日、政府は、安倍晋三首相が議長を務める「全世代型社会保障検討会議」の第1回会議を首相官邸で開きました。その内容は大変危険であり、国民の願いと逆行するものです。
 少子高齢化を口実に、社会保障は、「給付は高齢者中心」、「負担は現役世代中心」として世代間の対立をあおりながら、全ての世代に痛みを押し付ける内容と言わざるを得ません。
 75歳以上の一部負担を原則1割から2割へ引き上げるなど、窓口負担が倍とは社会通念上もあり得ません。さらに問題なのは構成メンバーです。議長は安倍首相であり、日本経団連と経済同友会からの代表は入っていますが、労働界や医療・介護関係者の代表は入っていません。
 誰のため、何のための制度の持続可能性なのでしょうか。

政府が狙う主な社会保障「改革」のメニユー 「給付削減」と「負担増」

医療

  • 75歳以上の一部負担を原則1割から2割へ引き上げ
  • 75歳以上の一部負担の3割対象者(現在は年収370万円以上蔓延)を増やす
  • 「かかりつけ医」以外の受診にについて追加負担を導入
  • 湿布や花粉症薬などを保険給付から外す
  • 預貯金が一定程度ある高齢者について、入院時の食事代・室料を全額自己負担

介護

  • ケアプラン作成に自己負担を導入
  • 利用料2~3割負担の対象者を増やす
  • 要介護1・2の生活援助サービスなどを保険給付から外す
  • 低所得者に対する介護施設利用時の食費・居住費補助の削減

 憲法25条の二項は次のように規定しています。
 「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と。窓口負担を倍にし、給付削減する事は、国としての公的責任の放棄と自己責任論を前提とする憲法違反ではありませんか。政府は社会保障制度の「持続可能性」を口実に「改革」と言いますが、負担すべきところに負担させず、国民に負担増を強いるのでは逆に「持続可能性」が低くなるのではないでしょうか。国民が医療機関にかかりやすくしたほうが、予防と早期治療により、医療費全体を下げる事の可能性が高いと思います。誰のため、何のための制度の持続可能性なのか問われています。

参考 いつでも元気2019.12