歯もみのはなし

「8020」運動をご存じでしょうか?80歳で20本の歯を残そうという取り組みです。しかし実際には、80歳で残るのは10本ほど。歯の健康は、生活の質に大きな影響を与えます。全身の健康のためにも、歯周病や虫歯を予防することはとても大切です。

「歯みがき」から「歯もみ」へ

歯周病は、細菌による感染症です。この菌は、常に口の中に存在していますが、数が増えすぎることで歯周病になります。

この細菌の塊をプラーク(歯垢)といいます。プラークは毒素を出すため、歯と歯肉の境目に付着することで歯肉が腫れます。 歯周病は高齢者に多いと思われがちですが、若い人にも多く見られます。自覚症状がないまま進行し、病気などで体力が落ちると、歯周病の症状も悪化します。働き盛りで、自分の体に目を向ける時間がない人は、歯周病の自覚症状が出るまで放置しがちです。歯茎が腫れたり、出血したりすると、かなり進んだ状態といえます。

プラークは、正しい歯磨きで落とすことができます。歯ブラシで、歯や歯肉をもむようなイメージで、やさしくマッサージします。当院では、このブラッシング方法を「歯もみ」と呼んでいます。

歯もみの仕方

つっこみふるわせ「歯もみ」

この方法は、図のように毛先を歯と歯の間に入れて、やさしく歯や歯肉をもむようにふるわせます。

歯茎が腫れて、さわっても出血するような時は「絵筆」のようなやわらかいブラシをつかい、歯と歯肉の境目を出血させないように「歯もみ」をします。

歯もみのポイント

4つのポイント

①歯磨き剤は使わずに、座って磨く。

歯磨き剤は使わない:歯磨き剤に含まれている
1. 清涼剤は、汚れがまだ落ちていないのにさっぱりして磨けた気分になる
2. 研磨剤は、歯の表面も研磨する
3. 発泡剤は、散るためにすぐに口をゆすぎたくなり、長く歯を磨くことができない。

②1日1回は20分以上磨く(テレビを見ながらなど「ながら磨き」がおすすめ)。

20分という時間は、歯1本につき1分を目安にしています。
座って磨けば、あまり疲れずに長い間磨くことができます。

③やわらかめの歯ブラシで、やさしく磨く。

硬い歯ブラシは、歯の表面や歯ぐきを傷つける恐れがあるため、やわらかめの歯ブラシの歯先を歯と歯の間に入れて、歯や歯肉をもむようにふるわせます。歯列に沿って横に磨いていきます。歯ブラシは、えんぴつを持つ持ち方で、力を入れずに磨きます。

④出てくる唾液は飲み込む。

唾液を口に貯めていると、長い時間磨けません。唾液は消化、消毒、抗菌などの作用がありますので、出血などしていない限り、飲み込んで大丈夫です。

歯ブラシの交換時期

歯ブラシは、毛先が開いたら取り替えます。しかし、1カ月に1本が目安です。あまりに早く毛先が広がる場合は、力の入れ過ぎです。

歯ブラシは毛先が開いたら取り替えよう。
1ヶ月に1本が目安となります。
あまりに早毛先が広がる時は、力の入れすぎ
なので、注意しましょう。

歯周病を重症にしないために!

しっかり「歯もみ」をする
歯のかみ合わせや歯並びの異常が歯周病の原因となっている場合は、噛み合わせを治す必要あり
汚れが溜まりやすい原因となる不適合な冠(かぶせ)はつくり治す。
いつも食べかすが詰まったり挟まっていると、歯周病になりやすい。

メンテナンス・定期健診(リコール)の重要性:痛みがなくても歯科に来ましょう!

歯周病(=歯槽膿漏)はいわば歯の慢性疾患です。また、自覚症状がなく進行していく病気です。定期的にチェックすることにより再発を防止するとともに、もし再発したとしても早期に治療を行うことで、歯周組織の破壊を最小限に抑えることができます。痛みがなくても定期的に歯科に来ましょう!