避妊にはどのような方法があるの?

避妊法には以下のものがあります

ピル(経口避妊薬)

コンドーム

IUD(子宮内避妊具)

不妊手術

緊急避妊ピル(アフターモーニングピル)


ピル(経口避妊薬)

 ピルは正しく服用すれば、ほぼ100%の避妊効果が期待できます。女性が自分の意志で避妊できる方法でもあります。

どんなもの?

 ピルには卵胞ホルモンと黄体ホルモンが含まれています。これが脳下垂体に作用して、卵方の発育と排卵が抑制されます。
 その他に、子宮内膜を受精卵が着床しにくい状態にしたり、子宮経管粘液(排卵期になると子宮頸部(けいぶ)から分泌され、精子を進入しやすくする体液)を変化させて、精子を進入しにくくします。

副作用はあるの?

 ピルの副作用、もしくは副作用と思われているものについて解説します。

血栓症

 ピル非服用者の血栓症リスクは低く女性10万人あたり年間5例ほど。ピルの内服によりそのリスクは3〜5倍まで増加しますが、妊娠時のリスクよりは相当低いと言えます。

乳がん

 ピルの使用によって(服用期間にかかわらず)乳がんの発生率はほとんど変化しません

子宮頸(けい)がん

 5年未満のピル使用では、子宮頸(けい)がんのリスク増加はごくわずかですが、5年以上使用するとリスクが増加する可能性もあります。子宮頸(けい)がん、乳がん共に、早期発見のためにもピル内服の有無にかかわらず定期的な検診をおすすめします。

体重増加

 ピル内服による体重増加の根拠はありません

ピルの避妊以外の利点

月経困難症・・・・・

 月経時のけいれん性の腹痛が軽くなります

過多月経・・・・・

 ピル服用により月経血量は減少します。

子宮内膜症・・・・・

 7日間の休薬期間を取らずに3〜6週期連続して服用を続ける長期療法では、月経困難症や子宮内膜症によい影響を及ぼすという報告もあります。

卵巣がん・・・・・

 上皮性卵巣がん発症リスクが40〜50%低下。卵巣がんの死亡率は、ピルの服用期間が長期化するのに伴って低下します。

子宮体がん・・・・・

 ピルの使用により発症リスクが50%低下します。

骨粗鬆症・・・・・

 ピルは加齢による骨密度の減少に対して予防効果をもたらします。

にきび・・・・・

 ピル使用により、にきびは軽減します。

ピルはどこで購入できますか

 ピルは病院での医師の処方が必要です。ピルを飲める人と飲めない人がいますので、医師と相談してからの処方になります。

立川相互病院の場合は次の通りです。

1.問診票を記入する

2.医師の診察

3.必要に応じて検査

4.検査で異常なしであれば、ピルが処方されます

ピルの服用方法

 ピルは毎日決まった時間に内服します。決まった時間であれば、何時でも大丈夫です。
 ピルには21錠タイプと28錠タイプがあります。21錠タイプは4週目がなく、28錠タイプは4週目にホルモンの含まれていない薬を飲みます。これは習慣づけて飲み忘れを防ぐためです。4週目に「消退出血」といわれる出血があります。

その他ピルについての質問

ピルを飲み終わったら妊娠はできますか

 ピルの内服をやめると、通常通りホルモンが分泌され、月経が始まり妊娠が可能となります。

性感染症(STD)は予防できますか

 ピルの内服だけではSTDは予防できません。STD予防にはコンドーム使用が不可欠です。


コンドーム



どんなもの?

コンドームとは、ゴムでできた袋を男性のペニスにかぶせ、精子の膣内への進入を防ぐものです。

メリット

特別な知識が必要なく、簡単に使えます。

薬局などで簡単に手に入れることができます。

性感染症の予防になります。

デメリット

使い方を間違えると、失敗率が高くなります。

どうしても男性の協力が必要です。避妊が男性主体になりがちです。

コンドームの正しい使い方

 コンドームは正しく使うことが大切です。コンドームの正しい使い方は以下の図をごらんください(クリックすると拡大します)

女性用コンドーム

女性が自ら使えるコンドームです。薬局などで購入できます。










IUD(子宮内避妊具)

どんなもの?

 子宮の中にプラスチック製の器具を挿入し、受精卵の着床を防いでくれます。




メリット

1回入れると約2年間使用できます。

使用感がほとんどないです。

デメリット

必ず病院で入れてもらわないといけません。

基本的に出産された方、中絶経験のある方が対象となります。

正しい位置に入っていないと妊娠する可能性があるため、定期的に診察が必要です。

子宮に異常のある場合は使用できません。


不妊手術

どんなもの?

 手術で卵子や精子の通り道をふさぐ方法です。

メリット

一度手術すれば、半永久的に避妊効果があります。

デメリット

妊娠を望んでも、再び妊娠することはほぼ不可能です。


緊急避妊ピル(アフターモーニングピル)

 避妊していてもコンドームが破けてしまったときや、避妊しなかったなどの無防備な性交後に、またレイプされてしまったなど望まない妊娠を防ぐために、緊急避妊ピル(アフターモーニングピル)があります。

どんなもの?

 無防備な性交後72時間以内に、中容量ピルを2錠内服します。その12時間後にさらにもう1錠内服します。そうすることで排卵を抑えたり、遅らせることで避妊を防ぎます。

 避妊効果はWHOによると72時間以内に緊急避妊ピルを内服すると84%の妊娠を回避できたという報告があります。

 ピル内服後、平均して10日で月経が来ます。3週間起っても月経が来ない場合は妊娠の可能性がありますので、受診をおすすめします。

 すでに妊娠している場合は使用できません。

副作用はあるの?

 約50%で嘔気が出現します。そのため、吐き気止めを一緒に内服します。ピルを内服してから2時間以内に嘔吐した場合、同量のピルを追加する必要があります。吐き気を少なくするために、食事や牛乳と共に内服するようにしましょう。


最後に

 基礎体温方法で排卵日を予測し、避妊に活用する方法もありますが、女性のホルモンバランスはちょっとしたことで変化するため、避妊方法としてはおすすめできません

 避妊方法は女性が主体的に使えるものもありますが、まず避妊方法についてパートナーと話し合うことが必要ではないかと考えます。

 あなたが愛のある人生を送るためにパートナーと共にできること、しなければならないこと、二人で話し合えていますか?