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連携すすめ 地域の要となる病院へ

new_image.jpg健生会では現在、立川相互病院のリニューアルに向け急ピッチで準備を進めています。立川駅北口近くに移転新築される新病院は、2016年12月に開院する予定です。新しい病院になると何が変わるのか? 患者はこれまで通り受診できるのか?――住民・患者さんの疑問に、立川相互病院の草島健二院長がお答えします。

zadankai.jpg「地域包括ケア」を支える病院に
望月 立川相互病院のリニューアルは友の会や患者会でも話題になっています。どんな病院を構想しているのでしょうか?
草島 基本方針は6つあります。1つは、地方の基幹的な急性期医療(=急に具合の悪くなった患者さんへの医療)を担う。2つ目は地域医療連携をすすめ、「地域完結型医療」をすすめる。3つ目は入院療養環境の改善や救急医療、専門医療、周産期・小児医療、手術などの質の向上。4つ目は災害医療の拠点となるよう役割を果たす。5つ目は医師、看護師などの研修・育成をさらに発展させる。6つ目に、ふれあいクリニックは引き続き慢性疾患(例・糖尿病など)の治療を担う。こうした方針のもと、地域の医療・介護・福祉のネットワークの一翼を担っていく考えです。
加藤 私は心臓病で八王子の共立診療所に通院していて、必要な時は立川相互病院にかかっています。新病院になると、三多摩全体あるいは民医連の医療機関との関係は変わるのでしょうか?
草島 民医連の診療所を含め、地域のかかりつけ医の先生方や介護機関との連携はさらに強めていくつもりです。いま、国の方針としても地域包括ケアが言われています。お金のあるなしに係らず患者さんが希望すれば24時間在宅で安心して必要な医療と介護が受けられるよう、新病院が地域の診療所と一緒に役割を担っていければと思っています。

住民同士の"つながり"を応援
望月 健康友の会は会員が2万4000人、立川支部には約6000人が加入していて、班ごとに健康づくりなどの取り組みをすすめています。とくに喜ばれているのが、自力では通院できない会員を対象にした病院への移送サービスで、毎月約1000人に利用してもらっています。新病院になっても、こうした活動を継続していきたいと思っているのですが...。
草島 友の会との協力・共同は、新病院としても大きな柱の1つに位置付けています。新病院には友の会のみなさんが活動できるスペースをきちんと確保しているんですよ。認知症の増加や地域の孤立などの不安が拡がっています。立川市でも孤立死の問題などが起きていて、住民同士の身近なつながりをどう強めていくのかが、まちづくりの重要な課題だと感じています。

医療の質のさらなる向上をめざす
加藤 新病院では救急医療のさらなる充実をうたっていますね。
草島 立川相互病院は、同規模病院と比較して医師が1.5倍など充実したスタッフ体制をつくってきました。この間の実績として、市内の救急搬送の約25%を受け入れています。脳卒中や心臓病の患者さんが増えており、救急でも一定の専門性と医療の質を求められるようになっています。この間脳外科を新設するなどしてきましたが、さらに充実させ、急病治療の要請に応えられるようにしていきたい。年間3500台の救急車を受け入れていますが、将来的には5000〜6000台の受け入れをめざします。
望月 新病院構想の中に「急性期リハビリテーション機能を高める」とありますが、具体的には?
草島 立川市の死因は、1位ががん、2位が心臓病・心不全、3位が肺炎、4位が脳卒中です。脳卒中の発症時から早期にリハビリを行うと回復が早いことが分かっています。また、脳卒中などで飲み込みが悪くなった原因で、誤えん性肺炎が多くみられます。それを予防するためのリハビリや、肺炎などの治療中に足腰が弱らないで在宅復帰できるよう、入院当初からリハビリをすすめることなどを「急性期リハビリテーション」と言います。ここに関わるスタッフを増員して、さらに取り組みを強化したいと考えています。

高齢化に対応した医療をめざす
加藤 地域では、高齢化が今後さらにすすむという問題と産婦人科・小児科不足が問題になっています。これらのニーズへの対応は?
草島 立川相互病院には常勤の産婦人科医が6人おり、年間約400人の赤ちゃんを取り上げています。助産師も充実していると思います。また、母子の健やかな成長のため母乳育児も推進していて、ユニセフ(国連児童基金)の「赤ちゃんにやさしい病院」にも認定されています。東京で2か所しかありません。産婦人科や小児科は多摩地域においても厳しい状況にあるので、産婦人科や小児科の育成、充実を今後もすすめていくつもりです。

通院しなくても安心して療養できる環境整備を
加藤 超高齢社会への対応はどうでしょう?
草島 健生会の診療所では、通院するのが難しい方の往診を行い、訪問看護や介護も組み合わせて24時間体制でサポートしています。在宅医療をすすめるには健生会グループ内だけでなく、地域のさまざまな病院・介護施設などと連携を強めていく必要があります。新病院では、入院治療から在宅等へのスムーズな移行ができるサポートを強めます。
望月 新病院では総合診療科の強化もうたわれていますが、そもそも総合診療科とは?
草島 比較的新しい診療科で、どこの病院にもあるわけではありませんが、立川相互病院では設置して10年になります。いま、内科は循環器、呼吸器、消化器など臓器ごとに分かれていますが、総合診療科では内科全般、また内科以外の診療科も含めて患者さんを診察します。例えば糖尿病と心臓病と眼の病気があるなど、歳をとればいくつもの慢性疾患を抱えやすくなります。高齢化がすすむなかで、1人の患者さんをトータルに診るという総合診療科は注目されています。健生会では従来から総合力のある医師の育成に力を入れてきましたが、そこをさらに強化するつもりです。
加藤 さらなる医療の充実が期待できそうですね。ところで、新病院は立川駅北口方面に建設されるので、立川相互ふれあいクリニック(ふれクリ)が遠くなってしまい、連携が弱くなってしまわないか心配しています。
草島 2カ所に分かれても利便性が損なわれることのないよう、定期便を運行させるなど患者さんが受診しやすいように工夫していきたいと思っています。ふれあいクリニックの役割分担としては、慢性疾患の外来診療を中心に、と考えています。

新病院建設を成功させよう
加藤 医療を取り巻く情勢が厳しいなかで、新病院が無事に建設できるのか、患者の1人として心配しています(笑)。建設資金の面も含め、病院から情報発信をどんどん進めてほしいですね。
草島 新病院の建設は、立川市の協力も得て、5社で協議しながらすすめています。しかし、建設費用は東京オリンピックなどの影響で高騰し、当初の予定より約20億円上回ることを見込んでいます。医療器具の充実含め、投資規模はトータルで約110億円。大きな投資になりますが、地域の信頼に応える医療活動を発展させることで、必ず成功できると考えています。共同基金、建設資金へのご協力も含め、地域のみなさんの力を借りながら新病院建設を成功させたいと思います。
 新病院になっても差額ベッドはなく、健生会発足当初の無差別平等の理念は変わりません。無料低額診療も引き続き行います。これからも患者会・友の会、地域のみなさんとともに、医療を受ける権利を守り、誰もが健康を享受できるまちづくりをすすめていく決意です。
望月 病院は私たち住民にとって大切な財産です。新病院建設に向けてともに頑張りましょう。

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