当院にはリハビリをして自宅に帰る方がたくさんいらっしゃいます。その中で私が担当させていただいたある患者様に学ばせていただいたことがあります。
その患者様は自宅では車いす生活を送っていましたが、入院時はほとんどの時間をベッド上で過ごされていました。奥様はほとんど毎日お見舞いにいらっしゃって、お二人時間を大切にされていました。
ご本人からは「パソコンをやりたい」、奥様からは「トイレに行ってくれれば・・・」という希望が聞かれていました。進行性の難病を持った方だったことあり入院前までの状態まで回復することは難しかったため福祉用具や介護保険サービスの利用などを提案し環境を整えることを中心に退院をめざしました。
入院から2か月後、デッド上でもパソコンが使える環境を整え、ポータブルトイレを使用することでトイレでの排泄が可能となり、無事に自宅へ退院することができました。退院する際に「ありがとう、次は歩いてくるね」と笑顔でおっしゃってくださったことを今も覚えています。
ほとんどがベッド上での生活になっても笑顔で退院していったこの患者様から”自宅へ帰る”といっても患者様、ご家族によって望んでいる生活は違うのだということを改めて学びました。リハビリスタッフとして自宅へ帰るため、望んでいる生活を送るためには何が必要かを常に考えながら、患者様に寄り添っていきたいと思います。 理学療法士
リハビリスタッフによる退院前の家屋調査の様子。