歯の健康と健康寿命の関係

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 けんせい歯科
 歯科技工士
 関 多革司

 

歯が多く残っている人や、歯が少なくても義歯等を入れている人では、歯が少ない人、また義歯を入れていない人と比較して、年齢、治療中の病気や生活習慣などの影響を取り除いても、その後に認知症発症や転倒する危険性が低いということがわかってきています。
 

●図 4 は、歯の状態や入れ歯の使用状態と認知症になっている人の割合を示しています。これによると歯を失い、入れ歯を使用していない場合、歯が 20 歯以上残っている人や歯がほとんどなくても入れ歯によりかみ合わせが回復している人と比較して、認知症の発症リスクが最大 1.9 倍になっています。

●図 5 では、歯が 19 歯以下で入れ歯を使用していない人は、20 歯以上保有している人と比較して転倒するリスクが2.5 倍になることが示されています。

●図 6 によると、保有する歯が 19 歯以下の人は、20 歯以上の人と比較して 1.2 倍要介護認定を受けやすいという結果が出ています。
つまり要介護状態になる危険性も歯が多い人ほど少ないこともわかってきています。歯を失ってもしっかり入れ歯を使えば、あらゆる機能は維持されるので定期的なチェックが重要と言えます。

以上のように、歯の多い人またはすでに自分の歯を喪失しても入れ歯等で、口腔機能を回復できている高齢者は認知症になりにくく、転倒も少ないという疫学結果がわかってきています。
歯が多く残っていることや、すでに喪失していても入れ歯等で口腔機能を維持することは要介護になりやすい疾患を予防し、健康寿命を延伸する可能性があると考えられています。

最期まで自分の口から美味しいものを食べられるようぜひ歯科医師に相談しましょう!