笑う門には

 場を囲み、額を寄せ合っているとき、だれかの笑い声は、意識していなかったことや関係に、面白さや明るさを与えてくれる。これでいい、うまくいっているかもしれないと。離れていても笑い声が聞こえると、空気を明るくしてくれる。それまでと、何も変わっていないはずなのに、新しく光がさすのを感じる。
 箸が転んでも笑ったり、友と笑い転げたり。小さなころは、なぜあんなに笑ったのだろう。腹が痛くて身をよじり、涙が出るほど笑った。
 にっちもさっちもいかなくなった時、もう笑うしかないと思ったり、互いに声をかけ笑い飛ばして、こころを整えることもある。
 笑いはからだの中から自然に湧き上がることもあるが、ときには意志的なものである。笑う門には福来る。

宮地秀彰

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