苦い燧ケ岳(ヒウチガタケ)

 36年たっても、なぜか懐かしくならない、苦い思い出。病院の登山サークルが募って、バスで尾瀬沼にある燧ケ岳に行った。5月はバスを降りても雪が残っていた。高低差のある道をしばらく歩いてから、アイゼンをはいて頂上をめざした。700mの標高差だ。尾瀬を歩く選択も勧められたが、登り始め調子が良く登り切った。
 一転帰りはバテバテ。集団から大きく遅れた。待っている集団に追いつくと、休む間もなく出発だ。先頭のリーダーをウラメシク思った。結局バスを30分遅らせてしまった。
 行きはよいよい帰りは怖い。調子に乗り、向こう見ずだった。36年、少しは知恵がついただろうか。平静が大切、緩急が大切と、自分に言い聞かせる毎日だ。

宮地秀彰

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