患者さんから学ぶこと

八王子共立診療所所長
奥野 開斗
健康のひろば第165号(2024年4月15日)より

 早いものでこのコラムを始めてから季節が一巡りしてしまいました。毎回、生みの苦しみはあるものの、地域のみなさんに手紙を書くつもりで、パソコンにむかっています。
 先日、外来に通っていた方が遠方に転居されるというので、最後にご挨拶したところ、「もう共立の樹が読めなくなるのが寂しいです」とポツリ。思いもかけない言葉でしたが、手紙はちゃんと届いていたんだなぁと実感しました。こうした声を励みに、これからも頑張って続けていきたいと思います。
 さて、今回は診療所に来てくれる若い先生たちの話です。
 八診では立川相互病院の初期研修医の地域医療研修を引き受けています。普段は入院患者を担当する研修医たちですが、八診では地域のなかで、より生活に近い医療の現場を学んでもらっています。研修を終えた感想を聞いてみると、教科書から学ぶことよりも、患者さんから学ぶことの方が遥かに多いことに気づかされます。老いや病いとどう付き合っているか、生活や労働のなかにどんな困難があるか、医師にどのようなことを求めているか、はたまた戦争でどんな苦労をしたか…。患者さんたちの言葉をスポンジのように吸収した先生たちのなかから、将来のこの地域を担ってくれる医師が出てきてくれることを願っています。

ページ上部へ戻る