八王子共立診療所所長
奥野 開斗
健康のひろば第174号(2026年7月15日)より
「母はもともと医者嫌いで、今回も病院に行くのを嫌がっていたんですけど、『共立診療所は憲法9条をまもる診療所だよ。だから行ってみよう?』と言い聞かせたら、『それなら行く』と言ってくれたんです……」
八診で外来を始めたばかりのころ、90代の母親を連れてこられた娘さんにそう言われ、驚いたのを覚えています。お母様は認知症もあり、多くを語ってはくれませんでしたが、まさに戦争を体験された世代。どれほどの苦労を重ねてこられたのかは想像するほかありませんが、娘さんのお話の中で、二度と戦争をしないと誓った平和憲法への強い想いを感じました。
「医者の腕が良いから」「スタッフが親切だから」「家から近いから」。患者さんが医療機関を選ぶ理由はさまざまですが、「憲法をまもる診療所だから」というのは、まさに民医連の診療所ならではの光景でしょう。
戦後80年が過ぎましたが、いまだに大国による無法な戦争が繰り返され、日本でもそれに追随するような動きが急速に進んでいます。あの患者さんをはじめ、診療所に寄せられる多くの方々の「平和への想い」に寄り添い、応えられる医療機関であり続けたいと、決意を新たにしています。