モッコウバラ

 開花は初夏とあるが、今年は4月早々に咲き始めた。10年近く前、結婚式場の高い外壁をおおうように枝垂れ、淡い緑の葉を地に、黄色くあふれるように咲いていた。春、街を歩くとき目がとまるようになった。つる性の常緑樹で、夏に向けぐんぐん伸び、葉の緑は濃さを増す。しっかりとした深緑の葉と幹で冬を越す。咲き始めの頃、はわせたつるを目の高さで見ると、濃淡の若葉の中に、身を寄せ合うつぼみと一杯に開いた花々が、黄色いグラデーションをなしている。
 若い夫婦は2人の子どもに恵まれ、共働きで力を合わせて子育てをしている。上の子は年長さんになった。「新しい戦前」といわれる時代、親も子も前を向き、へこたれず生きてほしいと思う。

宮地秀彰

>>バックナンバーはこちら

ページ上部へ戻る