ぼく、できたよ、できた。

 「お母さん、ぼく、高くできた。高くできた」。「お母さんが押さなくて、高くできたねぇ」。ブランコに乗る子と母の弾んだ声だ。足を振るタイミングが、ブランコの勢いを増すことを体感した瞬間だ。試行錯誤を楽しみながら、勢いやバランスやタイミングを、自然に身につけていく。興奮を味わいながら。
 生まれて程なく、赤ちゃんは体を丸く整え、親はそれをやさしく包み込む。互いに感じ合いながら腕の中に抱き、抱かれるようになる。少し大きくなると気に入らなければのけぞり、体の重さでするりと逃れようとする。気持ちがいい、よくないを、はっきりさせながら身のこなしを巧みにしてゆく。子どもはブレークスルーを重ね、からだの知恵と技術、脳を発達させていく。

宮地秀彰

>>バックナンバーはこちら

ページ上部へ戻る