2枚の写真

 白いつば広の帽子とワンピースの少女。妹との1枚。もう1枚は青年の頃。広い畑に作業着姿。2人は沢山の大きなさつまいもをつるのまま下げている。食糧増産の1枚か。母の法事の時、いとこがプレゼントしてくれた。初めて見る10代の母。大正末に生まれ、昭和20年に父と結婚した。
 吹きさらしの台所で1日が始まり(夜あか切れた指にメンソレをすり込んでいた)、子育てと農作業、賃取りにも出かけた。父と2人で兼業農家。3人を育て進学もさせてくれた。後年、父に尋ねた時「残業ができた」と答えた。私が社会に出るまでの20数年は高度経済成長期に当たる。両親は正直者で勤勉だった。私は与えられた生活を、当たり前のように享受した。日本の歴史的に恵まれた特別な時代だった、でよいはずはない。

ページ上部へ戻る