日本は世界と交わる海の国

 高校1年の時、全校集会で校長が出版まもない遠藤周作の「沈黙」を紹介した。戦国時代末、キリスト教が禁教、弾圧される。潜伏する信者たちの救いのため、ポルトガルから若い司祭が、絶望的な状況にもかかわらず上陸する。程なく密告され棄教に追いやられる。小説はずっと心に残り、最近の映画化で鑑賞し、読み直した。人の苦悩、懐疑の心が響いてくる。
 この夏、長崎市外海地区の遠藤周作文学館を訪ねた。館の垂直の白い壁の向こうには、広く晴れた空のもと、角力灘(すもうなだ)の青く長い水平線が見える。東シナ海から遠くポルトガルに通じている。西にある五島の北端には、遣唐使が中国に向け、東シナ海を渡る日本最後の寄港地があった。日本は海の国。はるか昔から、人と物、文化の交流を重ね、学びながら暮してきた。

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