水と暮らし

 4歳の頃、家の池に前のめりにずぶずぶと落ちた。誰が助けてくれたのか。家には2つ浅井戸があった。1つは家の裏にあり、飲用と家事に使っていた。風呂水を運び、炊くのは私の日課だった。もう1つは落ちた池につながり、田を潤おしていた。里は、低山の谷あいのなだらかな斜面にあり湧水が豊富だ。縄文遺跡があり昔から人が住み、豊かな水に生かされてきた。
 今は上水道。夏には熱中症を気づかい、外来に湯冷ましを持ってきて下さる人がいる。美味しくてほっとする。運動で大汗をかき、公園の水道で水をかぶる。とても気持ちがいい。流水は清潔で傷ややけどの洗浄にも使える。水は生きるために不可欠で、共有の資源である。民営化によるもうけの対象ではない。

宮地秀彰

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