スペース。待つ

 小さな子は、したいことを手持ちの経験ともので、ああでもないこうでもないと工夫する。失敗もするが可能性を引き出し、自己肯定感を得ていく。先回りは押しつけである。任せ、敬意をもって待つ心の「スペース」を用意したい。
 困難を抱える患者さんの診療にあたるとき、本人を中心に家族、医師、看護師、ヘルパー、ケアマネなど関係者の場を持つことがある。関係者は患者さんと家族の思いを受け止め、自分には見えないことがあるとして耳を傾ける。関わった長さと専門性が異なる夫々の意見が切実であり、新たな視点が引き出される。患者さんが言葉にできなかったことが明確になることもある。チームとして有効な方針を共有する。意見が湧き上がる「スペース」が重要だ。

宮地秀彰

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