活動報告 ACTIVITY

愛猫との再会を支えた終末期の意思決定支援

中堅看護師

子宮体癌の再発・転移に対し治療を重ねてきたA氏は、病状の進行に伴い、悪心や腹部・臀部の強い疼痛が出現し入院となった。
医療用麻薬の調整により痛みは軽減したものの、強度の傾眠傾向が見られ、病状は急速に進行していった。
医師からの病状説明後、ご本人・ご家族とともにホスピスへの転院も検討されたが、進行の速さから転院の実現は難しく、病棟での終末期看護を迎えることになった。

入院中、ベッドサイドには愛猫の写真が飾られており、A氏にとって大きな心の支えとなっていた。そこで、ご本人とご家族の「愛猫に会いたい」という強い希望を受け、衛生面や環境調整を行ったうえで、病棟での愛猫2匹との面会を調整・実施した。
面会当日は傾眠傾向にあったものの、周囲の声掛けや愛猫との触れ合いによって覚醒し、穏やかな笑顔が見られた。

 

がん治療の渦中にある患者さんやご家族にとって、辛い副作用と向き合いながら「治療終了後のこと」を事前に準備することは極めて困難である。
本事例では、A氏が「穏やかに過ごしたい」という思いをご家族と共有していたからこそ、意志疎通が難しくなりつつある中でも、自宅にいるような安らぎの時間を届けることができたと考える。
病院でのペット面会は制限も多いが、患者さんのQOLと意思を尊重した柔軟な介入の意義を実感した。

治療終了という厳しい局面に立ち至った際、限られた時間の中でも患者さんとご家族が十分に話し合える場を整えていくことが大切である。
医療現場には様々な制限が存在するが、患者さんが「本当に望んでいること」を見極め、可能な限り実現できるよう尽力していきたい。

 

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