活動報告 ACTIVITY

4階西病棟「印象に残った事例」

若手看護師

私は、立川相互病院で勤務している2年目看護師です。

新卒として1年間働いてきた中で印象に残っている事例は、大腸癌ターミナルの90代女性の患者さまとその家族との関わりです。貧血精査のため入院され、大腸癌末期の状態であると診断されました。入院時は介助でポータブルトイレに座り排泄するなどしていましたが、貧血、脱水の進行に伴い食事もほとんど摂れなくなり、数週間程度で寝たきりの状態となりました。高齢であることや基礎疾患から積極的な治療は患者様への苦痛になると考えられ、患者、家族へは緩和的ケアが望ましいと医師により病状説明がされました。患者は手術や代替栄養の希望はなく何もして欲しくない、自然な形が良いという訴えがありました。一方、長男と次男は急な宣告であったこともあり受け入れきれず、医師から何度説明しても「点滴で栄養を入れれば元気になる」と言った言葉が聞かれました。

末期癌の患者への過度な補液は、浮腫みへと変わり本人へ苦痛を与えてしまうものでもありますが、家族の訴えは変わりませんでした。新人であった私は自分の大切な家族が急にその様な状態であると分かった時のことを想像すると、患者家族からの訴えにもどこか共感できる所がありました。そのため、多職種カンファレンスを通しコロナウイルス流行下ではありましたが、何度か面会の機会を作ることとなりました。結果、最初の面会では大福やせんべいなどを患者に食べさせようとしていた家族が、次の面会ではプリンやヨーグルトなど食べやすいものを、次の面会では保湿剤を使用し足をマッサージしてあげる姿が見られました。その後、点滴は患者の負担にならないよう最小限のみで良いという方向になりました。
 
面会制限があり患者家族との関わりがほとんどなかった私にとって、看護観が大きく拡がった印象に残る経験でした。面会制限は患者とその家族にとって大きな不安をもたらしていると知り、看護師として少しでもその不安を取り除けるような関わりしていきたいと考えました。

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