1998-2011 医療・経営構造の転換

医療の質と安全性を高め、医療経営構造を転換し、民医連新綱領のもと新たな発展へ

医療安全に向けたとりくみ

医療安全集会

医療安全集会

98年立川相互病院に重大な医療事故が起きた。これは、左大腿骨頸部骨折の手術の際、左右を取り違えた事故であり、裁判所に提訴され、マスコミにも報道された。これに対して理事会は、お詫びの文書を出すとともに医療事故を起こさないための方針を出した。この事件自体は1年後に和解により解決したが、これをきっかけに医療安全対策委員会が設置され、リスクマネージャーも配置され、医療安全集会を毎年開催するなど医療事故防止は全職員のとりくみとなっていく。また、院内感染防止のとりくみも強められた。

在宅、介護のとりくみ

昭島相互付属診療所のデイケア

昭島相互付属診療所のデイケア

健生会の介護のとりくみは、96年のヘルパー養成講座から始まり、98年にヘルパーステーション「コスモス」が発足、これが発展して、健生会と協力会の協同事業としてNPO法人「地域福祉サービス協会」が設立された。以後、ヘルパーステーションは、同協会の事業となる。訪問看護の一部、デイケア、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所が健生会の介護事業となった。04年に健生会グループが中心となって、介護の実態調査レポートをまとめ、「人が人であるために」を発行した。なお、地域福祉サービス協会はその後グループホームを2か所建設した。

あきしま相互病院、ふれあいクリニック・新たな診療所建設

健生会第4次長期計画が02年に策定され、これにもとづいて、第一相互病院と昭島相互病院の病床を合体させて新たな療養型病院をつくる、立川相互病院の外来を外に出して大型診療所をつくる計画が進められた。こうして、03年9月にあきしま相互病院(療養型102床)、12月に立川相互ふれあいクリニック(外来、在宅、健診)が開設した。これに伴い、旧昭島相互病院は在宅クリニック昭島相互となり、立川相互病院も再編によって、回復期リハ病棟ができ、透析が腎クリニックから移動してきた。01年に透析専門のすながわ相互診療所が開設した。05年には国分寺市に国分寺ひかり診療所が開設した。これは、国分寺の友の会の10年以上にわたる運動が実ったものであり、市と連携して在宅介護支援センター・デイケア・デイサービスを備えた診療所となった。

あきしま相互病院、療養型病院としてオープン
あきしま相互病院、療養型病院としてオープン
ふれあいクリニックオープン
ふれあいクリニックオープン

医療の質の向上、経営構造の転換

国分寺ひかり診療所開設

国分寺ひかり診療所開設

立川相互病院は03年に医療機能評価を受審し、認定された。この受審に向けて病院全体で1年がかりでとりくみ、「立川相互病院の理念と基本方針」「患者さまの権利章典」を定め、総合的な医療の質の向上と管理の土台を築いた。さらに07年にプライバシーマークを法人全体で取得、個人情報保護法に対応するとともに、電子カルテ導入の基礎づくりとなった。電子カルテは、あきしま、ひかりの新設事業所で導入が始まったが、続いて立川相互病院・ふれあいクリニック・子ども診療所での導入を進めた。債務超過克服後も健生会の経営は悪化していたが、病院の再編と大型診療所建設によって好転した。さらに、診療報酬への対応では、7対1看護、在宅療養支援診療所、DPC病院、ICU・HCU加算等の取得によって、医療の質を高め、患者の要求に応えながら経営構造を大きく転換してきた。

医師研修の発展

70年代以降、センター病院建設を経て大きく発展してきた医師研修は、04年の新臨床研修制度を契機に、03年総合診療病棟・04年総合診療科を設け、ERおよび在宅診療をできるシステムをつくった。2012年度には7人より14人の受け入れ定員となった。2011年には、開院以来続けられてきた立川相互病院のCC(臨床検討会)が1,000回、CPC(臨床病理検討会)が300回を迎え、初期研修の改善とともに臨床技術を高めてきた。医学生対策を強化するとともに後期研修の充実化、後継者の育成にむけての取り組みが前進してきている。

第5次長期計画の策定、実践へ

2010年2月、民医連綱領が49年ぶりに改定され、「無差別・平等の医療と福祉の実現」を宣言した。綱領改定に向けては、健生会でもほとんどの職員が参加し、友の会も含めて活発な討論が行われ、多くの意見を反映することができた。健生会では2010年5月に第5次長期計画を策定し、立川相互病院のリニューアル、24時間の在宅医療・介護、3万人の友の会、伊奈平診療所の新築・移転などの課題を掲げ、その実現に一歩足を踏み出した。

共同組織、社保活動

健生会協力会は99年に「三多摩健康友の会」に名称を改め、自立した医療住民組織としての性格を鮮明にした。その後、友の会は2万2千人を超える組織に発展し、健康づくりなど多彩にとりくまれている。社保活動においては、後期高齢者医療制度反対に旺盛にとりくんだ。また、08年以降、被爆者集団健診のとりくみが始まった。大気汚染公害裁判には健生会の患者も20人が参加してたたかいを続け、07年に勝利、和解した。

健生会は09年に社会医療法人を取得、地域への貢献度が評価された結果である。立川なんでも相談村が10年12月に始まった。無料低額診療事業も11年から開始された。

略年表

1998年
しんまち訪問看護ステーション開設
健生会協力会・ヘルパーステーション「コスモス」開設
健生会マスタープラン決定
立川相互病院で「大腿骨頸部骨折手術の左右取り違え」の医療事故
さかえ訪問看護ステーション開設
NPO法人「地域福祉サービス協会(あーす)」設立

1999年
相互歯科新築・移転
健生会理事会が前年の医療事故について謝罪声明
医療事故和解に
「健生会協力会」が「三多摩健康友の会」に改組

2000年
日吉町訪問看護ステーション開設
にしき相互クリニック(往診専門)開設(03年まで)

2001年
三多摩健康友の会20周年・健生会創立50周年記念・三多摩健康フェスティ
バル開催
すながわ相互診療所開設(透析30床)
健生会創立50周年式典

2002年
健生会第4次長期計画を決定
ひまわり相互歯科開設(06年まで)
府中診療所リニューアル
国立さくら訪問看護ステーション開設(06年まで)
立川相互病院に回復期リハ病棟を開設
立川相互病院第一診療所開設(03年まで)

2003年
立川相互病院、医療機能評価機構の受審、認定
昭島相互病院廃止、在宅クリニック昭島相互開設(在宅介護支援センター併設)
あきしま相互病院開設(療養型102床)
にしたま訪問看護ステーション開設
立川相互ふれあいクリニック開設(外来・在宅・健診)

2004年
新潟中越地震の救援活動

2005年
国分寺ひかり診療所開設(在宅介護支援センター・デイケア・デイサービス併設)
けんせい歯科移転・開設
立川相互腎クリニック、立川相互病院内に移転

2006年
子ども診療所移転
立川相互病院、ふれあいクリニック、子ども診療所に電子カルテ導入
立川相互病院7対1看護基準を取得

2007年
健生会、プライバシーマークを取得
立川相互病院に救急ER病棟を開設

2008年
後期高齢者医療制度の中止・撤回を求める東京大集会に500人参加
立川相互病院がDPC病院となる

2009年
健生会が社会医療法人を取得

2010年
健生会第5次長期計画を決定

2011年
健生会創立60周年を迎える

希望に燃える2011年度新入職員67人

希望に燃える2011年度新入職員67人

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