香りを足して脳と心の健康を:暮らしの健康教室

嗅覚を鍛えて認知症の発症予防・認知機能を改善しよう

8月7日は鼻の日です。鼻はご存じの通り嗅覚をつかさどる器官ですが、それ以外にも空気中の埃や細菌を体外に排出させたり、空気を加温・加湿して喉や気管支に適した状態にしたり、高温時には脳を冷やしたりする役割があります。
主な役割である嗅覚は、鼻炎などの炎症や、鼻の粘膜や神経の損傷、脳外傷、アルツハイマーやパーキンソン病などの疾患によって感覚が鈍ることがあります。また年齢によっても変化しており、20代をピークに徐々に衰えていきます。

香りで変わるさまざまな気分

嗅覚は五感のうちで唯一、意欲や情動、睡眠、自律神経系に直結している感覚です。そのためリラックス効果や安眠、集中など、香りによってそれぞれ違った効果が得られます。嗅覚が衰えると、ガス漏れなどの危険なにおいに気が付かなかったり、味がわからなくなったりするだけではなく、認知症の発症リスクをも高めてしまいます。嗅覚の低下は、認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)の方の多くに見られる症状です。このMCIの段階で発見できれば、進行の遅延や回復が期待できますし、嗅覚を鍛えることで認知症自体の発症予防や認知機能の改善も見込めます。
嗅覚を鍛えるためには、花やコーヒー、アロマなどご自身の好きな香りを3、4つ決めてできるだけ積極的に嗅ぐようにしましょう。難しい場合は、食事の際に料理のにおいを嗅いでから食べるというのもよいです。日々の中で香りに意識を向けるようにしてみましょう。また、なによりも鼻炎など原因となる疾患があれば、放置せずに治療をしていくことが大切です。においの感じ方が変わった、わかりにくくなったと感じたら早めに耳鼻科を受診しましょう。
嗅覚は気が付かないうちに衰えてしまいますが、ソムリエの方の嗅覚が非常に優れているように、鍛えることができる器官でもあります。脳と心の健康のために、生活に香りやにおいを足してみてはいかがでしょうか。

◇健康のいずみ 第548号(2019年8月5日)より