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4/30に当院が行った掲示『医療は限界 五輪やめて!もうカンベン オリンピックむり!』についての見解

2021年5月10日 立川相互病院 院長 高橋雅哉

①当院は急性期287床、医師数90名の中規模病院です。昨年4月からコロナ患者さんの受け入れを開始し、本年4月までに、242名の患者さん(軽症~重症)の入院治療を行いました。

② 五つある一般病棟(各47床)のうち一つを改修し、コロナ感染症・疑似症26床の専用病棟として運用しています。また、ICU(集中治療棟)、HCU(準集中治療棟)のうち3床をコロナ重症者用に使用しています。

③ 大阪の状況をみて、第4波が大きくなることは必至であると考え、5/7より、HCUの全16床をコロナ重症~中等症ベッドに転用することを決定しました。コロナに直接携わるスタッフの緊張は言うまでもありません。また、本来、HCUで治療すべき患者さんを一般病棟で管理することとなり、例えば、大手術後の患者さんと、認知症の患者さんを同時にケアしなければならないなど、危険回避のための看護スタッフの負担は限界を超えます。このため、一般病棟の病床数もある程度制限する必要が生じ、コロナ以外の患者さんに対応できるベッドは、199床と大幅に減少します。

④ このように、コロナ診療のために、一般診療が圧迫される状況は昨年から続いており、救急車の応需率は、2020年1-3月80%から2021年1-3月55%に激減しました。コロナ以外の患者さんも医療を受けづらくなっています。

⑤ 平年は、国の基準をある程度上回る看護スタッフを配置して病棟診療を行っていますが、昨年コロナ流行の中で新たに中途入職を希望される看護師さんは少なく、各病棟ともギリギリの人員配置になっています。これに4月からは、新卒の看護師教育も行いながら病棟運営を行っています。疲労のために退職が出れば、将棋倒し的に医療崩壊につながりかねません。

⑥ 病院内での感染を予防するため、一年前から、職員には私生活の自由にもかかわる行動制限を徹底しています。同居家族以外との会食の禁止、帰省・旅行の制限などです。また、職場での昼食も距離をとって、食事中の会話は厳禁としています。

⑦ 現場の感覚として、大阪の第4波の医療のひっ迫の現状は、東京の第3波のひっ迫度を大きく超えていると感じています。

⑧ 上記のような病院の窮状に加え、オリンピックの開催でコロナ感染拡大が懸念される中、更に突然の看護師や医師の派遣要請や患者受入病院の指定など報道で知る所となり、病院としてメッセージを表明する必要を感じました。国公立病院などではこのような意見表明は困難であろうと考え、自由な立場の一民間病院である当院が、あえて、4/30標記の掲示に踏みきったものです。

⑨ 選手の方たちの、常人には想像もつかない努力の積み重ね、関係者の方たちの開催に向けたご尽力を考えると、非常に心苦しく思います。しかしながら、現実的に、感染拡大の可能性のあるオリンピックの開催には反対せざるを得ません。

⑩ 皆さまの、ご理解ご支援のほどをお願いする次第です。

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