いのちを守る医療ここにあり

私は訪問診療部で看護師をしています。
当院から訪問診療に伺っているうっ血性心不全の患者さんの奥様が6月末体調不良になり、ご主人が使用している在宅酸素をご自分の判断で使用し安静にしていたと、ご主人の診察の時に話してくれました。
早急な病院受診を勧めましたが、かかりつけがないとの一点張り。そこで腰を据えて話しを聞く事にしました。
 すると 「(夫の)先月までの入院費も払えてないのよ。来月15日が過ぎたら受診しようかな、それまではお金がなくて。年金までなんとか頑張る」と言うのです。顔色も眼球結膜色も不良でしたので年金を待たずに行くように再三説明しましたが「行ってもお金が払えないから、本当にお金がないのよ」とあきらめていました。
そこで、昭島相互診療所に連絡し状況を説明したところ「大丈夫ですよ。とにかく受診出来る様にしましょう」との返事がすぐに返ってきました。おまけに昭島相互診療所は友の会の無料送迎バスがありそれも利用させてもらえる事になりました。
本当にありがたい診療所だと心の底から思いました。 前もってお金が払えないけど見てもらえますか?と問い合わせして受入れてくださる医療機関がはたしてどれだけあるでしょうか?
地域に根ざし、地域の方々の健康を守る姿勢をまざまざと見せられました。

さて、送迎バスを利用して受診までこぎ着けたその後が気になりますよね。
緊急検査で極度の貧血が判明し、貧血の原因を探らなければならなくなりました。その為には入院しなければならないのです。しかし、普通なら入院→検査→健康と考えが進むところなのですが、経済的に困窮しているため入院→検査→お金と考えてしまい躊躇されてしまったのです。診療にあたった医師や診療所職員の説得で、二日後立川相互病院に入院する運びになりました。しかし、それだけでは事がおさまりません。自宅に残された在宅酸素使用中の夫はどうしたら生活が出来るのかと言う問題に直面しました。ここで、私たち療養型病院であるあきしま相互病院の出番です。すぐさまベット調整にはいりました。経済的な事は十分理解した上でそれぞれの病院が入院を引き受ける事になり、妻は急性期病院へ、夫は療養型病院へおのおの入院しました。
入院当日、市外に住む娘さんが来院し両親の経済的困窮を初めて知ったようで、医療相談員に相談した結果、生活保護の申請に行かれました。 

 

昭島相互診療所