患者様とご家族に寄り添うこと

 リハビリテーションスタッフである私の心に強く残る患者様をご紹介します。

 その方は肺癌の末期で余命1ヶ月と宣告され、当院に入院された男性です。呼吸苦が続いており、様子をみながら車椅子に乗って当院の庭を散歩したりお話しをしたり、また奥様が当院の通所リハビリテーションに通われていたので時々当院の中でお会いしていただくことができました。また、娘さまが度々お見舞いにいらっしゃっていて、私にご本人様のお話をいろいろとしてくださいました。

 ある時、娘様から「両親の写真がないんです。家族から言っても本人は撮りたがらないのでリハビリで撮ってもらえませんか」と相談がありました。早速ご本人様と奥様をお招きし、写真を撮る際にご本人様に肩を組むようにお願いすると、「こんなことやったことないよ」と言いながら奥様の肩に手を回しました。堂々とした顔つきのご本人様とちょっと照れくさそうな表情の奥様、2人の写真が出来上がりました。

 その後ほどなくしてご本人様は亡くなられましたが、写真をお渡しした際に娘様が「いい写真。撮っておいてよかった」と笑顔でおっしゃられたことに救われました。

 私たちは毎日様々な患者様に出会い、そして様々な人生に関わっています。患者様やご家族様に「よかった」と思える生活を送って頂けるようにこれからも寄り添うことを大事にしていきます。

 

リハビリテーション室 作業療法士